Mercari Tech Conf 2017 に行ってきた
昨日、Mercari Tech Conf 2017に行ってきました。
スタートアップからどうやってここまで成長してきたのか、どういったことを大切にしてきたのか、といった話があり、非常に参考になりました。
また、最近元Facebook社VPのジョン・ラーゲリン氏がCBOに就任した等のニュースで海外展開も注目を集めている同社ですが、今回の聴講で海外に対する本気度が良くわかりました。 今後グローバルでも順調に拡大していきそうです。
今回のカンファレンスで参考になった点をまとめていきます。
スタートアップからどうやって急成長を遂げたのか
メルカリは創業からまだ4年半ほどにも関わらず、時価総額は1000億円以上ともいわれ、とんでもない急成長を遂げています。
しかも、創業時点で競合アプリはかなりあったらしく、それらを乗り越えてここまできています。
その急成長の背景には、主に二つの理由があるようです。
とにかく素早く
- ミーティングはほとんどせず、週一回の定例ミーティングくらいで収める
- インフラのスケールを初めから想定するのでなく、破棄する前提で構築
- 初期の段階では検索機能をつけない
かなり大胆な意思決定をされています。
特にインフラの話が凄まじく、いろいろ後のことを考えて導入が遅くなるくらいなら、シンプルな構成でとりあえず参入しよう、という実に勇気ある決断です。
また検索の話も驚きで、アプリの特性上絶対に必須じゃないの、と私なんかは思ってしまいます。
しかし、検索機能の追加はエンジニアとしては非常に重労働で、検索精度を高く保つのも大変です。 なので、中途半端なものを作ってお客様を落胆させるくらいなら、いっそ作らない!という男気ある決断をしたそうです。
やはりリソースを裂くところをしっかり見極めることは、かなり重要ですね。
“顧客の出品体験”というUXを最重要視する
- 画像を軽量化して表示速度を向上
- HTML5ではなくNativeで開発することでタイムラインの表示を高速化
表示速度 >>>>> エンジニアの手間 という考えで、どれだけ手間をかけてでもUX改善のために表示速度の向上にこだわったそうです。
他者と比べて圧倒的な“快適な出品体験”を実現できたことが、ひしめく競合の中を抜きん出られた最大の要因のようですね。
グローバルで成功する戦略
国ごとにUIを最適化しているようで、なんと驚くべきことに海外向けにUIをスクラッチで再開発したそうです!
ただこれ、かなり効果は抜群だと思われます。
かのパズドラが大成功を収めたのも、「電車でつり革につかまりながら片手でプレーできる」といった、ユーザの背景をしっかりと想定して作られたことが大きかったと言われています。
国ごとに違うユーザの背景にあわせて、手間隙惜しまず最適なUIを作りこんでいく。
このUXへのこだわり、海外でも成功する未来が見える気がします。
未来が垣間見える機械学習の活用
メルカリは大量に蓄積される商品画像を用いて機械学習の活用も進めているようです。
確かに、説明文や価格、購買の有無など様々な付加情報の付いた画像データが大量にあるわけだから、活用しない手はないですね。
現在、商品画像からのカテゴリ識別、ブランド予測、価格推定などを行っているようです。これができれば、出品物の写真を取るだけで多くの項目をAIが自動的に埋めてくれるようになるわけですね。めっちゃいいなー
カテゴリ認識はCNNを用いており、Inception-v3(2014年の一般物体認識のコンペで優勝したGoogLeNetの改良版)をファインチューニングしたみたいです。
カテゴリ認識のエラーレートは29.3%と、一般物体認識に比べると精度は少し低めです。
どうしようもないものとしては、その他カテゴリの商品や、女性用上着 or 男性用上着 or 子供用上着の分類などがあるみたいです。 画像だけではサイズがわからないため、分類できないみたいですね。
こういうどうしようもないのを除くと、やはりマイナーな商品が難しいようで、例としてルーピングという幼児向けのおもちゃが紹介されていました。
↓こんなやつ www.amazon.co.jp
確かにマイナーそう……
データが足りないからデータを増やせるようにがんばります!といっていましたが、データオーギュメンテーションとかはしてるんだろうか? まぁ登壇者は相当機械学習に詳しそうだったし、当然トライはしてるよね。
ちなみに画像データは5000万枚くらい使ったりしてるそうです。それで足りないとは恐ろしいですね。 まぁ出品物によって偏りが出るのは仕方ないし、スキューなデータをいかにうまく扱うのかというのがデータサイエンティストの腕の見せ所ですね。
まとめ
急成長の裏には、顧客のUXを最大化するというしっかりとした戦略があったことがわかりました。
海外展開にも同様の戦略の元、手間を惜しまず取り組まれており、海外でも明るい未来があるように感じます。
また、機械学習を活用してワクワクするような機能を開発されており、今後の機能拡張が楽しみです。 (機械学習の適応先として、問い合わせへの一次返答ってあったけど、C2Cの問い合わせも対応してるのかな。あらかじめいくつかの項目埋めとけば、あとはAIが勝手に問い合わせ処理してくれるとか超ワクワクだよね)
今後のメルカリの発展に、目が離せませんね。
上場マダカナー
おまけ
おみやげいっぱいゲットしました。
来年も是非参加したいです!